ココヤシになってしまったウナギ

ココヤシになってしまったウナギ

タヒチアンが神の化身と信じるウナギ。彼らに「日本人はウナギを食べるのか?」と聞かれる事があります。でも、日本人だってあんなに巨大なウナギは皮も硬そうだし食べることはしないでしょう。

さて、前回に続き、その大ウナギが登場する伝説です。

ある島にたいそう美しいヒナという名の女王様がいました。

ある日、森に流れる川辺でヒナは水浴びをしていました。しかし、その川にはとても怖い大きなウナギが住んでいました。

実はウナギは魔物でありました。そして、そのウナギはヒナに一目惚れしてしまい、妻にしようとさらって行ってしまいました。 

その話を聞きつけた島の勇者である男はヒナを救い出そうとウナギのもとへ出かけました。男はウナギを見つけると戦いを挑みました。その戦いは熾烈を極めましたが、とうとう男はウナギの首を切り落とすことが出来ました。転げ落ちたウナギの首は最後の力を振り絞りヒナを見つめ、こう言い残しました。

「ヒナよ、お前は私のことを嫌っているが、そのうち時が来たら私を愛するようになり、毎日私に口づけするようになるだろう」 

ヒナを連れ村に戻る時、男は戦利品としてウナギの首を持ち帰ることにし、草で編んだカゴに入れました。帰り道、疲れた二人はひと休みしょうとカゴを地面に置くとそのままウトウト眠り込んでしまいました。しばらくして眠りから覚めると、なんとした事でしょうカゴに入ったウナギの首からニョキニョキと見たことの無い大きな木が生えているではありませんか。その木はまるでウナギのように一本の枝もなく、空高く青々と葉を広げ二人の上に涼しい木陰を作っておりました。そして沢山の丸い大きな実をつけていました。

その一つを取り割ってみると中には甘くて、冷たい水がたっぷりと入っていました。

この実をヒナは大好きになりました。そして毎日、美味しい水を飲む度にウナギの化身であるその実に口づけしたのでした。

このお話しでウナギの化身とされるココヤシはタヒチの人々にとって無くては成らない万能の木。次回はタヒチアンの生活にどのようにココヤシが使われているのかをご紹介します。

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